同人誌の表紙から読み解く「とらドラ!」アニメ版ロゴの凄さ

本日、冬コミで買い逃した本をサルベージしようと、アキバのとらのあなを散策していたときのこと。
「今年はやっぱり『かんなぎ』と『とらドラ!』が強いなあ……」と同人誌の棚を眺めていると、ふとあることに気づきました。
あのマーブルチョコのようにカラフルなアニメ版「とらドラ!」のタイトルロゴを真似たデザインの表紙が異様に多いんです。

※ホントかよと思った方、こちらの通販ページから何冊か表紙が参照できるのでご確認ください。
■【とらのあなWebSite】カテゴリ別商品一覧(とらドラ!) ※18禁
http://www.toranoana.jp/mailorder/cot/genre/6/872_01.html

いかがですか?
結構な割合で、「1文字ずつカラフルな円に囲まれている」ないしは「1文字ずつ異なるカラフルな色づかいをしている」ロゴが採用されているのがわかると思います。これは明らかにアニメ版「とらドラ!」の影響ですよね。

もちろん同人誌は原作へのリスペクトから生み出されるものですから、タイトルロゴを真似していても不思議はありません。でも、今までここまで真似されたロゴってちょっとないよなあ…と違和感を感じるくらいでした。

そこで、なぜこれほどまでにこのデザインをみなさんが揃って採用しているのか、ちょっと自分なりに理由を考えてみました。
(注:自分はデザインや配色に関しては素人に毛の生えた程度の知識しかありません。なんかアホなことを言っていたら指摘してやってください)

インパクトがでかい

このロゴ、とっても目立ちます。
どのくらい目立つかというと、何十冊という新刊がずらずら陳列されている同人ショップの店内にあって、ざーっと表紙を眺めているだけで「お、ここにとらドラ!本がある!」とわかるくらい目立ちます。
ご存じのとおり、同人誌は描き手の方によって絵のタッチがまちまちですから(当たり前だ)、ぱっと表紙だけ見てすぐに「大河だ」「亜美ちゃんだ」と認識できないこともあるんですよね。もちろんショップが原作名などを書いたタグを見本誌に付けてくれたりもするのですが、結構小さい文字で書かれていて、いちいちチェックしきれるものではありません。
でもこのロゴを採用している表紙は、初見一発でとらドラ!本だと気づくことができます。

デザイン自体は単純(素人でもそれっぽく作れる)

カラフルな丸(これ自体はカラーピッカーか何かでオリジナルの色を抜いてくれば簡単に真似できますね)の中に細めのフォントで白抜き文字。
複雑な画像編集テクニックはいりません。頑張ればペイントでも描けるかも(暴言?)。
それに比べて、他のアニメ作品のロゴは、凝っている分真似するのが大変なものが多いような気がします。フォント自体が特徴的だったり、複雑なグラデーションがかかっていたり。
どんなに素敵なデザイン、かっこいいデザインでも、真似するのが難しければ採用する人は一握りですよね。その点、「とらドラ!」のロゴは敷居が低いわけです。

どんな表紙と組み合わせても大体なんとかなる

このロゴ、デザインが非常にシンプルですっきりしています。(グラデーションや抜き文字などを使わず、ベタ塗りでパキっとしたイメージです)
また、比較的彩度の高い色を中心に使っているので、背景のキャラクターなどと重なってもそれほど見にくくなりません。また色相で見ても、特定の色に偏らず、全体的にまんべんなく色を使っているので、表紙全体の色のバランスを崩すことも少ないと思います。

比較に出して恐縮ですが、涼宮ハルヒの憂鬱のロゴ(これもインパクトがありますね)のように、ある特定のキーカラー(ハルヒの場合は赤)を採用していると、背景のデザインによっては色がぶつかりあってしまうことがあるため、ロゴの配置を工夫したり、場合によっては色遣いを変えるなどの工夫が必要になります。
(実際ハルヒの同人誌では、キーカラーを青などほかの色に置き換えた形で使用しているケースを何冊か見かけました)
これに対して「とらドラ!」ロゴの場合は、えいやっと表紙絵の上に置いても、大体の場合それなりの見栄えに仕上がるようになっていると思います。


こうしてみると、このアニメ版とらドラ!のロゴ、なかなか凄いデザインだということに気づかされます。
インパクトがあって」
「誰でもすぐ書けて」
「どんな背景とも相性が良い」
ロゴデザインの理想を満たしていますよね。

このように優れたロゴは、様々な媒体に掲載する際に便利に活用できるわけですが、二次創作としてデザインを拝借させていただく同人作家にとっても恩恵を受けられるわけですね(もちろん、作った側も使う側も、そこまで意識しているわけではないと思いますが)。

そんなわけで、とりとめがなくなりましたがこの辺で。

おまけ:
このロゴデザイン、二次創作で利用する上での欠点もあると思います。
一番の問題は「長いタイトルとはもの凄く相性が悪い」こと。1文字ごとに1色用意しなければならないので、色数が増えれば増えるほど大変なことなります。
(「恋する妹はせつなくてお兄ちゃんを想うとすぐHしちゃうの」的な長文タイトルに当てはめようとすると、配色を考えるだけで死ねそうです)
逆に短いタイトル、特に4文字で収まってくれたりするとオリジナルの配色をそのまま使えてリーズナブルです。
そういえば同人誌のタイトルって、なぜか短いものが多いですよね。ひらがな数文字とか…あれはなぜなんだろう。